2013年3月17日日曜日

コータ君 7回目

ご来店ありがとうございました。



上半身の構えを修正した事により(コータ君本来の脊柱の生理的彎曲の良さを活かした)懐の深さが出て来ました。細かい感覚は本人の中で試行錯誤が有ると思いますが、この懐の深さを大事にして振り込んで行って下さい。

重要な練習テーマは以下の通りです。

●振る力を付ける練習
●ハムストリングスを使った立ち方の感覚を維持
●ホウキなど、軽い棒を使って体に正しい連動を憶えさせる練習
●左脚の動きを良くする事と力を強くする事

ところで、投打に共通するコータ君の最大の問題点としては、ハムストリングスの力を使うと言う事が、まだあまり出来ていないと言う事です。その結果として、投球でも打撃でも、始動時に股関節、膝関節がグニャッとなる動きが入ってしまいます。これはハムストリングスの力で体重を支え切れていないからです。これは例えるならスポンジのクッションを付けた靴を履いてプレーしているようなものですから、下半身の力が吸収されてしまい、地面に上手く伝わりません。この点が改善されるともっとパワーが出るでしょう。ただ、恐らく年齢と共に解消していく問題ですので、地道にでも取り組んで行って下さい。メニューの一例としては、以下の通りです。

●階段or椅子踏み台昇降
●踵足踏みスクワットダウン
●リズム股関節伸展スクワット
★腸腰筋ストレッチ(腰反り体操)
★腸腰筋その場ステップ
▲踵小刻み足踏み
▲8の字揺らぎ体操

●印はハムストリングスを鍛えるメニューです。★印はハムストリングスの硬化短縮による骨盤の後傾を防ぐために腸腰筋を鍛えるメニューです。▲は、骨で立つ感覚を養うメニューです。このメニューは順番も考えて作っていますので、●★▲を各一つづつでも良いので、この流れで取り組むようにしてください。

ちなみに今回良かった点は、始動してから前脚が着地するまでの動き(体の連動)をホウキを用いた練習で上手く出来るようになった事です。この形は日本人には見られない動きですが、バリー・ボンズにもライアン・ハワードにもケン・グリフィーJrにも皆同じ連動が見られます。あまり繰り返しする必要も無いですが、継続して体が忘れないようにしてください。

メジャーリーグのバッティング技術の挿絵「理想のフォーム」※今とは若干細部が変わっています。

練習のポイントとしては、一度止まってから始動する事です。始動時に前後の揺れが有ると正しい連動の形になりにくいためです。

また、もう一つ、コータ君に不足しているのは、始動してから前脚が着地するまでの速さ(クイックネス)です。これについては、比較的ワイドスタンスで、やや重心は低めの構えから、軽く短いバットを使って、反応素振り等をしたり、また、その構えからバットを短く持って、前から投げられたボールをギリギリまで引きつけて打つ練習をすると良いでしょう。(遅いボールの方が引きつける感覚が掴みやすくなります。)

最後に、振る力を付けるトレーニングでは、肩関節、とくにトップハンド側が固まらないように注意してください。セットで腕回しや左投げでのシャドーなどの肩のストレッチが必須です。特に左打者の場合、左肩関節の外旋が不足するようになると、低めにバットヘッドを潜らせる事が出来なくなるので、外旋可動域も重要です。そのためのストレッチとして「皿回しストレッチ」と言うのが有ります。

これは、インパクトか、その一歩手前くらいの形を作り、両手で車のハンドルを握るように皿など円形の物を持ちます。その状態から、左打者であればハンドルを左に切っていき、ボトムハンドを内旋、トップハンドを外旋します。トップハンドが外旋し、肘が曲がりながらヘソの方に食い込んで来るバッティングフォームの形になる事がポイントです。トップの形から、腰を回すと同時に両腕を捻って皿を回しても良いでしょう。

また、懐を開ける件についてですが、この場合のポイントは、バットが顔の前を通らないようにすることです。バットが顔の前を通ってヘッドが投手方向に入る構え(ヘッド入れ型)になると、ヘッドが出るのが遅くなるので注意が必要です。具体例としてキューバの打者を例に挙げると、ユリエスキ・グリエルの形は良いですが、フレデリック・セペダの場合はバットが顔の前を通ってしまっています。

ユリエスキ・グリエル(5回表)片手フォローの悪影響も有って今大会は不振を極めましたが、元々は非常に優れた技術の打者です。捻りがやや極端ですが、捻り方そのものは良いです。懐の開け方としても良い例です。投手からトップハンドとボトムハンドの両方の肘が見える捻り方がポイントです。

グリエルは元々はメジャーリーグからチャップマン並みに注目されていた選手でヤンキース入りの噂も有ったのですが、それは正確な評価でしょう。ステップはオートマチックステップです。膝を内に絞っていないので、ハムストリングスが使えている事も長所です。



フレデリック・セペダ(四回裏、右中間に二塁打) キューバでは最も安定感の有る主軸打者であり、キューバで最も実力の有る打者と言えばグリエルとセペダと私は見ています。ただ、顔の前を通ってヘッドが投手方向に入る「ヘッド入れ型」の構えである事だけが難点です。ステップはジータータイプの二段ステップで、元中日のタイロン・ウッズ、キューバのホセ・アブレウと同じタイプです。スイッチですが左右ともに打ち方は同じです。


セペダの右打席。ステップは左打席と全く同じです。この構え(ヘッド入れ型)は股関節が割れにくいのですが、その辺がセペダが今一歩、長距離打者になりきれない原因でしょう。


ホセ・アブレウ セペダと同じタイプの二段ステップ。最も難易度が高い二段ステップで、ラボでもほとんど触れていません。タイロン・ウッズとホセ・アブレウはかなり似たタイプの打者です。


しかし、こうした動画は良いですね。見逃し方や、打席を外したときの行動なども解るので、テレビでは解りにくい面が見えてきます。

なお、ボトムハンドの肘をホームベース側に出す事については、そこだけを無理に強調するとぎごちなくなるので、あくまでも全体のバランスでちょうどいい感じを見つけるようにしてください。


以上です。