2013年7月13日土曜日

小峯さん 進化の記録1



まず、今までに多くの人を見て来た経験で言える事は、小峯さんは大腿四頭筋を使う動きが身体に染み付いており、ハムストリングスを使った動きに慣れておらず、その結果、動きの中で股関節を割る動きが出来にくいと言う典型的なケースのようです。(やはり、実際に会ってみて、色々な動きを見て行くと、そうした事まで、良く解ります。)このタイプの人は、野球選手の中にも、野球の上手い下手に関係無く、良くいます。ただ、そのようなケースの中にあっても希望が持てるのは、元の骨格がかなり良い方だと言う事です。(脊柱のS字カーブが効いている体型の人でも、ハムストリングスを上手く使えるとは限らないと言う事を改めて再認識出来ました。)

なので、トレーニングにおいて、まず始めに着手したい事が、やはり腸腰筋が効いて、骨盤が前傾した状態を作り、そこからハムストリングスを使って、動けるようにして行くということです。

そのためには、当然腸腰筋ストレッチがまず重要になるのですが、それと平行して、まず下地作りとして、腸腰筋のストレッチも重要になります。と言うのは、腰を反って腸腰筋をストレッチしようとしても、腹筋や大腿四頭筋などが硬ければ、充分に反りを作る事が出来ず、深層筋である腸腰筋にアプローチ出来ないからです。

そこで、まず腸腰筋ストレッチ3種「タオルを使って腰を反るストレッチ」「大の字になるストレッチ」「腕を組んで腰を反るストレッチ」を行なって行く事で、身体を反る柔軟性を向上させて行く事が重要になります。そして、その上で腸腰筋その場ステップが重要になります。(ただ、現段階での腸腰筋その場ステップの動きを見ると、その場ステップの中では腸腰筋が使えているので、全くイチからのスタートと言うわけでは有りません。)

そして、腸腰筋その場ステップが終わった後、股関節で身体をクッと折り、大腿四頭筋の弛緩とハムストリングスの収縮を確認します。そこから、踵での小刻みなステップや両手で8の字を描く揺らぎ体操などで、踵でトントンする感じ(骨立ち、ハムストリングス立ちの感覚)を確認してください。流れを整理して書きます。

1)腸腰筋ストレッチ
2)腸腰筋その場ステップ
3)大腿四頭筋の弛緩とハムストリングスの収縮
4)踵小刻みステップや、8の字揺らぎ体操で、踵でトントンする感覚を確認。

黒人の身体機能に近づくためには第一段階として、まず、このメニューが重要になります。基本的には(1)は準備体操であり、(3)と(4)は確認作業的な意味が強いので、やはり重要なのは(3)の腸腰筋その場ステップです。

そして、この下地作りが出来た状態で、スクワット系、アップダウン系を取入れて行きたいのですが、小峯さんの場合、やや急ぐ必要があるので、スクワット系、アップダウン系も、同時進行で行なって行きたい事はお話した通りです。ただ、まだ初期段階なので、とにかく腸腰筋その場ステップを最重視してください。

黒人の身体機能に近づくと言うのは、パワーアップのために非常に重要なテーマです。その取り組みがココから始まると言う事です。

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細かい分析も有るのですが、まず一番先に「テークバックでのコンパクトな腕の回転」を身につけるために、プラスになると思える具体的な取り組みで、新しく考えた物を書いておきます。

1)オートマチックステップ投げでのポイント

オートマチックステップ投げは基本的に、内旋して肘から挙るテークバックを身につけやすい練習なのですが、ポイントを外すと、それが難しくなります。下の動画を見て下さい。オートマチックステップで内旋して肘から挙るテークバックを上手く作れる人には共通点が有ります。


1)始動時に後ろに重心移動しないで、直接前に出て行く。
2)肘を下げて構える事で肩の力が抜けている。

この二点です。

では、小峯さんのオートマチックステップ投げをスローで見てみましょう。


スローで見ないと解りにくいですが、始動した瞬間に、一度わずかに重心が後ろに移動しています。この動きが有ると、後ろに重心移動している時に上半身の余計な動きが入ってしまい、そのぶん、両手の割りの動きが悪くなってしまいます。

そこで、以下の事を試してみてください。

a)始動時に身体が後ろに動かないように意識して、6,7割の力で軽くシャドーする。
少しづつで良いので、この練習をしばらくやってみて下さい。構えでは肘を下げてください。部屋でも出来ると思います。しばらくやっていると、両手が速やかにパッと割れる感じとか、肩に力が入らない感じが解ると思います。ただし、メインはあくまでも無意識での全力シャドーです。

b)少し捻りを入れて、後ろ脚股関節を割り、後ろ脚に体重を乗せた構えから始動する。
これによって、後ろ脚の力が効きやすくなり、始動時に後ろに重心移動しにくくなります。そうすると両手もパッと割れてくれます。このときも構えでは肘を下げます。ただ、これはあくまでも練習法と言う位置づけです。また、もしかして左脚の力の方が強くて始動時に後ろに重心移動が起きている可能性も考えられます。この場合、後ろ脚の力を鍛える必要がありますが、割れ絞り体操系を後ろ脚中心にやっていけば大丈夫でしょう。

c)足裏全体にバランス良く体重を乗せる。
これは、バッティングで多いのですが、インエッジがめくれていたりすると、始動時に後ろに重心移動が起きたり、無駄な動きが起きやすくなります。ハムストリングスを使うためには基本的に踵に重心を乗せる事が大切ですが、拇指球や小指球も地面にしっかりと接地した状態で足裏を地面にフィットさせて構えるようにしてください。

図のように、3点を地面につけて、足裏全体がピタッと地面に着くように構えます。この事を意識した練習をする場合、ややハムストリングス立ちがおろそかになりやすいので、事前に腸腰筋その場ステップ或は腸腰筋ストレッチを行います。そして、両足の角度が平行から僅かに開いている状態を確認してから、足裏のフィット感を意識して、一回づつ丁寧に投げます。 両手が気持ち良く割れる感じが有るかと思います。

d)構えで出来るだけ、肘を下げて肩の力を抜く。
肩甲骨を胸郭に被せて、そこから腕が吊り下がっている状態を思い出して下さい。あの感じで構える事で肩の力が抜けます。内旋して肘から挙るテークバックが出来る人の共通点として、肩の力が抜けています。

e)少し後ろ脚のトレーニングを優先させる。
後ろ脚の力が強くなる事で、始動時に後ろに重心移動する動きが無くなる可能性が有ります。(断言は出来ません。)ただ、投手の場合、後ろ脚の割れ絞り系のトレーニングを行なう重要性が大きいので、自然に後ろ脚のトレーニングが優先されると思いますし、そうした方が良いでしょう。割れ絞りジャンプ、割れ絞りパンチ、割れ絞りシャドー等によって、後ろ脚のトレーニングを積極的に行なうようにしてみてください。

(a)と(b)については動画で紹介します。(e)はトレーニングの話ですし、(c)と(d)は、どの練習の中でも意識出来る事なので、敢えて動画説明は必要無いでしょう。自分自身、後ろに重心移動してしまってますが。。


2)ワインドアップでのポイント

小峯さんの場合、脚を挙げた時、やや肘が挙り過ぎて肩に力が入った状態になっています。これもテークバックが肘から挙る形にならない原因の一つである可能性が有ります。(原因と考えられる要素を一つずつ消して行く取り組みが必要になります。)

ただ、私がこれは「腕を逃がす」と言う事を言っていたので、それも有ると思います。ただ、ここで少し方向を修正したいと思います。

下の動画を見て下さい。肘は完全に降ろして、腕をぶら下げたままの意識で脚を挙げています。それでも、実際には体幹部との連動で最後に自動的に腕が逃げてくれます。ただ、この動画の感じだと、少しグラブと前脚が接触してしまいます。それでも、グラブの中でボールの握りがズレるとかは無いので、パフォーマンスには影響が出ないと思います。なので、ひとまず、パフォーマンスに差し支えが無い範囲で、腕と前脚が当たらない事よりも、肩の力を抜く事を優先してみてください。そうすると、腕の力が抜けて、指先が走るようになると思います。特に小峯さんの場合、始動時に上半身に力が入っている感じがして、それが最大の問題のように思えるので、その方が良いと思います。



これはバッティングでよく有るケースなのですが、始動しようとした時に上半身が力んでいると、下半身の力も出なくなります。また、始動した後も、下半身の力が上手く上半身に連動してくれません。ですから、始動時に上半身の力が抜けている事は非常に重要です。それによって始動時の下半身の力も大きくなるし、その下半身の力を腕の加速に効果的に活用出来るからです。

続きます。

そして、ワインドアップでのもう一つのポイントですが、「クッと脚を挙げて、フッと力を抜いて、ガッと投げる」のリズムの中で「フッ」と力を抜く所で肘が下がっているということです。これが、腕の回転が綺麗(あるいは肘から挙る形が出来ている)な人の共通点です。

下の動画は「肘から挙げるテークバックが出来てる」と言うテーマで編集しました。最後に小峯さんが入っています


これを見ると、出来ている人は肘が下がっている所から始動している特徴が有ります。最初から肘が下がっているか、脚を挙げる時にに肘が挙った後、一度下に下げてから始動しているかのどちらかです。ただ「肘を下げてから始動」の意識だと「脚を降ろしてからの始動」の意識と同じで、始動が遅れてしまい始動ポジションで後ろ脚に体重が乗ってない状態になってしまうので、注意が必要です。勝負は脚を挙げる所までです。そこまでで「肘が下がった状態から始動出来る」ような脚の挙げ方とその時の上半身の動きを身につけることがポイントになります。

3)ストレッチでのポイント

まず、重視してほしいのは「腕回し」です。ショートからの送球の練習も「腕回しの一種」と考えて行なってください。これまで、パンチャー投げを教えて、テークバックで綺麗な腕の回転が出来る人の特徴として「最初からそういう腕の使い方が出来る」「肩の動きが柔らかい」と言うのは、やはりあります。腕回しストレッチの中で、肘から挙げて肘から抜く感覚を掴んで下さい。

ですからまず、小峯さんの場合も「(1)肘から挙げて肘から出すような腕の使い方を5,6割の腕の振りの中で意識すると、出来る」と言う状態を作る事と「(2)人より肩甲骨や肩関節の柔軟性が有る」と言う状態になる事が重要になります。その上で「(3)実際の投球フォームの中で、肘から挙げて肘から出す動きが出来る」と言う状態を目指して行きます。

(1)と(2)がクリアされていないと、(3)が出来ない場合、それが技術的な問題なのか、土台となる身体の機能性の問題(1と2の問題)なのか、解りにくいためです。

内野手のスローイング動作では、腕がそこそこ回っていたので、この動きをストレッチとして行い、よりスムーズに腕を回せるようにしてください。これは(1)の取り組みです。ただ、ソフトボールのピッチャーの例でお話したように、こうした動的ストレッチは(2)の柔軟性を高める効果も高いのです。そのため、腕回しは(1)と(2)を兼ね合わせた非常に良い練習になります。継続していくと肩廻りがほぐれて来る事が解ると思います。

軽くで良いです。トップを作ってから投げるのでは無く、肘が上、手が下の状態からシュパッと腕を振る感覚です。6割くらいの力で、腕の力を抜いて、腕回しストレッチとして行なうのが良いと思います。

また、小峯さんの場合、おそらく三角筋が硬いのだと思います。椅子の背もたれで肘を付けるストレッチを見ても、それを感じました。ですので、下の動画のような三角筋のストレッチを行なって下さい。立った状態と前屈した状態で行ないます。三角筋が硬いと、肘が背中の方に入らなくなります。

プリントに書いてある基本的なストレッチに加えて、上記の三角筋ストレッチも行なっておいてください。

また、肩関節の内転筋である大胸筋や広背筋が硬化すると肘が挙らなくなるので、これらのストレッチも重要です。特に素振りの後等、負荷を使った後には必須です。

その他、下の写真の肩甲骨ストレッチ(内転+上方回転)によって右の脇腹をストレッチしておく事も、肘を挙げるために重要になります。これは特に、切り返した時の肘の高さを保つのに効果的です。

基本的にストレッチは「(1)肘から挙げて肘から出すような腕の使い方を5,6割の腕の振りの中で意識すると、出来る」と、「(2)人より肩甲骨や肩関節の柔軟性が有る」のために行なう事です。つまり、土台作りを意味します。そしてシャドーやボールを使った投球練習が「(3)実際の投球フォームの中で、肘から挙げて肘から出す動きが出来る」のための練習になります。

肩の柔らかさを自分の長所にするぐらいの取り組みでいかないと厳しいと思いますし、そこが重要なポイントになると思います。

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緊急の理論変更です。シャドーは、粘着テープを丸めたのを使わない方が良いです。使うと、リリースする感覚が無くなるからです。また、シャドーの意識は「振る」では無く「投げる」イメージを大切にした方が良いです。なぜなら、振る意識だと、力の向きがフィニッシュの方に向いてしまうからです。投げる意識にすることで、真っすぐ前に力が向いて行きます。

では次に分析編です。今回、また新しい課題も見つかりましたし、改善、球速アップの筋道も前回より明確に見えて来ました。

続きます。



しかし、やはり実際に外で投げている所を見た事は非常に大きかったです。

まず「投げ方」ですが、オートマチックステップ投げが安定しているし、力も出せているので、これで行くのが良いのかなと言うは有ります。以前にウーロンさんと言う小峯さんと投げ方が非常に良く似ている人がいて、その人も脚を挙げるフォームが投げにくいような事を言っていたので、オートマチックステップ投げの適性みたいなものが有るのかなと思います。

ただ、オートマチックステップ投げで行くのであれば、ハムストリングスの力を使う事がかなり出来ていないと、力も出ないし、肩肘に負担がかかってくるので、ハムストリングスを中心とした股関節のトレーニングはかなり重視する必要が有ります。

現状のフォームでは、その辺に非常に大きな課題が有り、今回の動画を見ても(センターカメラのアングルで)後ろ脚の膝が折れている事が良く解ります。しかし、逆に言うと、そうした下半身の使い方で、上半身の動きもコンパクトな投球腕の回転になっていないのに、このくらいの球が投げられていると言うのは希望が持てる所です。つまり、基礎トレーニングを積みながらフォームを改善して行くだけで球速が伸びる余地がまだまだ有ると考えられると言う事です。

この状態(かなり大腿四頭筋を使っている)で、ハムストリングスがバリバリ使えるようになると、どのくらい球威が出るのだろうと考えると、楽しみな部分は有ります。また、その上で、投球腕のコンパクトな回転が出来るようになれば。。かなり良い線行くはずです。

また、低めに叩き付ける球よりも、高めに抜ける球の方が圧倒的に多かったですが、これ等は、単純に後ろ脚の膝の折れが改善されれば、無くなる現象かなと思います。それから、クイックとして使うためには、ややモーションが遅くなっていますが、それも後述しますが、ハムストリングスを使えるようになれば改善します。

ただ、全体的にはオートマチックステップ投げでのフォームは安定していますし、またフォームが安定しやすい投げ方なので、これから短時間で習得していきたい要素(球威、制球力、変化球の球種)の多い現状を考えると、ベースとなる投げ方をクイックモーションとしても使えるオートマチックステップ投げ一本に絞ると言うのは、良い作戦だと思います。また、そうした作戦を採る前提として、ワインドアップとオートマチックステップ投げで球威があまり変わらないと言う現状は、逆にプラスに考える事が出来るものです。

後は、ボールを投げる練習をなんとか積みたいと言うのがあります。撮影当日のような、ランダムに様々な球種を投げる練習は、非常に重要です。チェンジアップ、スライダー、シュート系、カーブを基本として、何とか少しでもレパートリーを増やしていきたい所です。

一番、球威が出る投げ方を選んでもらった結果がオートマチックステップ投げである事、そして、そのフォームにまだまだ問題が有るにも関わらず、そこそこの球が投げられていると言うあたりに、希望が見出せると言うのが今回の感想です。

次回は、お話したとおり、後ろ脚のトレーニング法と、投球腕を中心としたストレッチと、肩の回転を良くすると言うテーマで考えていますが、その前に抑えておいてほしいポイントについて書くことにします。

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と言うわけで、オートマチックステップを極めて行く方針が良いと思います。
この投げ方のシンプルさを活かして、投球そのもの(球種、コントロール等)と、フィジカルトレーニングに集中出来れば、可能性は広がると思います。
大雑把な方針としては、フォーム的な事は私に任せて頂き、小峯さんには投げるボールに集中してもらいたいし、また、そういう環境を作るのが自分の役割になるかなと思います。

ということで、とりあえず、基本的に次回までに抑えておいてほしいポイントについて書きます。

1)捻りによる後ろ脚股関節の割れ

これが今回はあまり無かったようです。基本的にオートマチックステップの場合、捻りが無く、両脚の形が同じになると、前に出て行く力が弱くなるので不利になります。スタンスが広くなりすぎないように、また、重心が低くなりすぎないように注意しながら、その範囲で捻って、後ろ脚股関節を割る事が重要になります。



補足としては、捻る時に身体がセンター方向に傾かない事が重要です。下図は打撃の時に良く用いる図ですが、下図のような捻り方が重要になります。ただし、脊柱の側屈を使うのではありません。この辺は次回に詳しくお話するので、とりあえず後ろに傾かないようにだけ気を付けておいてください。中心軸のまま捻る感覚です、


2)後ろ脚の下腿部の角度

やや、膝が潰れた構えになっており、そのため、動き出した時に膝が潰れるので、大腿四頭筋が強く働いてしまっています。下の写真のような後ろ脚の角度を作って下さい。これは捻って、後ろ脚股関節を割ると、やりやすくなります。また、股関節を割ると骨盤が前傾しやすくなります。つまり、事前に腰を反って腸腰筋をストレッチした後、股関節で身体を折り曲げる時に、捻りながら後ろ脚股関節を割ると、この後ろ脚のラインが作りやすくなります。 ここで、後ろ脚のハムストリングスが効いている感覚を掴む事が重要です。例えば、練習時のルーティーンとして、後ろ脚だけで腸腰筋その場ステップを数回やって、その後、腰を反って腸腰筋をストレッチし、股関節で身体を折って構えを作る等の方法が有ります。(ただし、このやり方だと時間がかかるので数が投げられませんが。)




3)肘を下げる

これは今回、よく出来ていた点です。ただ、それをやろうとするあまり、捻りが無くなって、後ろ脚股関節が割れなくなったのかもしれません。捻って、後ろ脚股関節を割った上で、如何に肘を下げて構えられるかと言う事に取り組んで下さい。



以上が、特に重要なポイントです。次回までに、このあたりを意識して練習しておいてください。
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それでは、これからオートマチックステップを極めていくにあたり、参考になるように皆さんのオートマチックステップ投げの動画(比較的、出来てる例)を集めてみました。


特に重心を下げる時の下腿部の角度に注意して見てください。写真はそれが解りやすい例です。

小峯さんのフォームの場合、かなり膝の折れが目立ちます。

その結果、始動した時に後ろ脚側が沈み込みますが、これが高めに抜ける球が多い事の原因の一つでしょう。それから、基本的に膝が折れて大腿四頭筋が効いたときは、開きが早くなりボールがシュート回転しやすいので、それも一つの目安にすると良いと思います。

 高めに抜けた球がシュート回転する場合なんかは、この写真の傾向が強いときではないかと思います。

また、後ろ脚の動きや投球腕の動きはまだ改善されていないものの、腕の出所はかなり高くなり、また、胸の張り、フォロースルーでの身体の前倒しもかなり大きくなっています。これは、シャドーとボール投げの違いもあるでしょうが、実際にオートマチックステップでシャドーを繰り返す事で、改善されている部分も有ると思います。


1)腕の出所が高くなった

2)胸の張り、背中のアーチが大きくなった

        3)フォロースルーでの前傾が大きくなった

上記の写真は全てシャドーとの比較です。ボールの負荷がある事で、投球腕の外旋が大きくなったから腕の出所が高くなった。また、ボールの負荷が抵抗として働く事で胸のハリが大きくなった。そして、その反動で身体の前倒しが大きくなった。と考えれば、これらは、シャドーとボール投げの違いに過ぎないとも考えられます。しかし、下の連続写真はラボでのボール投げですが、これを見ると、やはりフォームそのものが進化している面も有ると言えるでしょう。つまり、上記の写真の大きな違いは「シャドーとボール投げの違い」と「フォームそれ自体の技術的な進化」が、五分五分くらいで混在した結果であると思います。
 

下の写真を見ると、腕の振り(トップ以降の)がかなり良くなったようにも思えるのですが、その違いの何割りかは、シャドーとボール投げの違いが出ているのだと思います。ただ、実際、良くなってる部分も有るはずだと言う事です。そのあたりは次回、ラボで確認したいと思います。


最後に、これからの課題の一つになるのが、グラブ腕の使い方です。

小峯さんの場合、オートマチックステップ投げで始動した後に、少し後ろに戻るクセが有ります。これは、基本的に、始動時に前脚の力が強く効くからです。ですから、この場合、先に書きましたように、捻りを入れて後ろ脚股関節を割った構えを作ると、改善されると思います。


ただ、問題は、この後ろに戻る動作との連動で、グラブ腕が少し「お腹側、かつ捕手側」に動く事です。その結果、その後のシーンでは、その反動で「背中側、かつ投手側」に動き、これがグラブ腕の開き、つまり肩の開きにつながっています。

これは、後ろに体重が戻る動きが無くなると、改善されます。写真は、構えた位置から後ろに戻っていないので、グラブとボールが割れる前に無駄な動きが無く、グラブとボールが綺麗に割れている例です。

オートマチックステップ投げを極めて行くと言う作業は、こういう感じになります。つまり無意識で起きる動きを修正していかなくてはならないわけです。

動画でも見て下さい。


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基本のフォームがクイックモーションと言うピッチャーなら、ランナーのいる場面でも、ベンチはマウンドに送り出しやすくなるので、中継ぎ、ワンポイントの起用も視野に入れての取り組みが良いと思います。ですので、牽制球やフィールディングも重要な要素になって来ます。

変化球と共に、そうした事も関心を持って取り組んで行ってください。変化球はとにかくストレートを殺してしまわないようにすることが重要ですね。カーブとかはストレートに影響の出やすい球種なので、そのあたりは注意が必要になると思います。

セットからの脚上げや、ワインドアップは、これからも、少しづつやっていきたいと思います。(それはキャッチボール等で使えるためです。)ですが、基本フォームをオートマチックステップにすると言うのは、小峯さんの場合は良い作戦になると思います。投げ方がシンプルなぶん、より実戦的な事も、今から準備していく事が重要になるでしょう。

後は、とにかく少しでも球速アップを目指して行きましょう。

今回は以上です。

次回のテーマは

1)後ろ脚のトレーニング法
2)肩の柔軟性の向上の方法(肘から挙るテークバックを身につけるため)
3)オートマチックステップの基本について

です。