2016年3月12日土曜日

ダルビッシュ投手フォーム分析 その8

ではメインテーマに入ります。

軸脚の動作です。


テーマは二つあります。
(1)重心が下がったときの軸脚の角度
(2)軸脚股関節に割りを作る

です。どちらかというと(2)がダルビッシュ投手の長所で(1)の方が課題だと思います。ただ、それは「回し込み式」の特徴が良く出ていると言った方が良いでしょう。これらのテーマを技術的に追求し、トレーニングして行く事で球速が挙がる余地があると思われます。

(1)についてですが、ピッチングの軸脚の形はスクワットの基本と同じでヒザが前に出過ぎない方が良いです。その方がハムストリングスが使える=下半身の力が使えるからです。


下腿部が立って、頸骨で立っている状態です。
(あまりヒザが後ろなのもバランスが悪いですが)


これは「膝スクワット」と「股関節スクワット」の違いで、膝スクワットになるとハムストリングスの拮抗筋である大腿四頭筋が主導になってしまい、ハムストリングスの力がつかえません。(ピッチングではここまで上体を倒しません)

動画は股関節スクワットが出来ている例です。


こちらは膝スクワットになってしまっている例です。バーランダーなど豪速球投手もいますが。。


結論から言うと、手を身体の近くに起き、頸骨真下に加重して立つとこの形が作りやすく、逆に手を前に大きく出して、拇指球に加重して立つと膝スクワットになりやすいのですが、そのあたりについてはおいおい書いて行きます。

(2)についてですが、股関節はボール&ソケットの構造で斜めの関節面をもつので、その回転は斜め回転になるのが自然です。

これを股関節の「割れ=open」と「絞り=close」と言います。

股関節の自然な運動は斜め回転であるという事をふまえると
「股関節の割れ=屈曲の自然な形」
「股関節の絞り=伸展の自然な形」
という事が言えます。

ですから重心を下げる場合は股関節を割るのが自然です。


反対にキックする時は絞るのが自然です。


割った状態から絞ると、より強く蹴る事が出来るわけです。


この軸脚股関節の割れ〜絞りを利用して軸脚で地面を長く、強く、しなやかに押せる点はダルビッシュ投手の長所だと言えます。もちろん、それは意識的に力を入れて蹴ったり押したりする意味ではなく、重心移動の中で軸脚は自然に出力します。
 

チャップマンなども驚異的です。


以上の「スクワットの形」と「割れ絞り」と言うテーマを技術的に追求し、またトレーニングしていく事で球速が挙がる余地があると思われます。

前提として、ピッチングにおける重心移動は、軸脚からの力(まずは地面反力)によって押し出されるのが理想的で、身体の方が先に流れてしまうと軸脚の力をロスするという点が重要です。ですから、捻りなどの重心移動を始めるための切っ掛け動作は出来るだけ小さな方が良いのです。


これは最初に押すと引くの例で書いたとおりです。

先に身体が流れてしまうと、いくら軸脚の使い方を考えたり鍛えたりしても台無しになってしまいます。

次回から具体的に二つのテーマについて書いて行きます。

その8 完